10 SELECTED
BOOKS

Vol.18
前島 淳也 日本文化を考えさせてくれる本

Vol.18 前島 淳也 日本文化を考えさせてくれる本

1960年の日本デザインセンター創業時から社員に親しまれて続けている資料室。
その約2万冊の収蔵本の中から選んだ10冊をお勧めする
「ライブラリーのおすすめ本をシェアするプロジェクト」
第18回目は、前島 淳也(第三制作室 デザイナー)が選んだ10冊です。

1
Hiroshi Sugimoto
“Seascapes”

当たり前だが日本は海に囲まれた島国。海景、水と空気。ほとんど当たり前のような存在に光が加わる。眺めていると不思議と心が安らぐ。杉本博司の30年以上にわたるライフワークは、言葉では表現する事のできないほどの感動がある。どの写真も美しく、怖い。

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2
上田義彦
『上田義彦写真集 at Home 』

自身の家族の日常を記録した写真集。学生時代にこの写真集に出会った時の感動を今も覚えています。写真の持つ距離感、ドキュメンタリー性はどれも素晴らしいです。家族の微笑みの中に日本人の豊かさを感じます。写真家の純粋な眼差しのように、自分も作る事に正直であり続けたいと思える一冊。

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3
ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ
『美花選【普及版】』

植物画家が描いた花の絵の数々はどれも美しい。日本の浮世絵師やゴッホやモネのように、これまでも沢山の人達が植物を描いてきた。この一冊を見ていると、幼少期に夢中になって描いた花の絵を思い出す。作者は日本人ではないが、いつの時代も花や植物は画家を魅了し描く事への欲求へと駆り立てるのだと思う。

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4
石内都
『絹の夢』

銘仙の着物を捉えた写真集。銘仙とは明治、大正、昭和にかけて庶民の間で流行した着物です。生き生きとファッションを楽しむ当時の女性たちを垣間見るような銘仙。日本を支えてきた生糸産業は今もなお美しく色あせず、近代日本の痕跡を残しています。現代人の感性を刺激し触発するものとして、私自身もこれからのものづくりを考えるきっかけとなりました。

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5
山本耀司
『服を作る』

良いとか悪いとかではなく、もの作りに情熱をかけ、世界に挑み続ける一人の日本人に勇気をもらいます。

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6
緑川洋一他
『瀬戸内海』

例えば木々から落ちる木漏れ日や、水面の煌めき、真っ白な雪、誰かを愛おしく思う気持ちなど、理屈ではない何かに人は美しさを感じます。何度か訪れるたびに益々魅了されてしまいました。

7
Roni Horn
“Bird”

現代美術作家、ロニー・ホーンの作品集。 鳥の剥製を後頭部から撮影した写真が淡々と続くユニークな写真。剥製にもかかわらず、どの写真にも哀愁が漂っています。不思議と見ていると懐かしい気持ちになります。装丁も潔く気持ちがいい。ドイツの写真集に特化した出版社Steidlらしい一冊。

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8
石元泰博
『桂離宮』

「日本の文化は、ハードウエアというよりもソフトウエアが作ってきたんじゃないかと思う。」という言葉が印象的です。物を生かし、自然を生かしてきたソフトウエアにこそ日本の文化の本質がある、と言っています。全てのものに魂が宿っているようなそんな桂が美しく心に残ってしまいます。

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9
増田彰久
『写真集 明治の西洋館』

今の日本は西洋文化とのミクスチャーであることは言うまでもありません。この本は明治という、西洋文化をとことん意識し目標にしてきた時代が、建築写真を通して垣間見ることができます。私自身も今の日本をしっかりと認め、ものづくりを考えたいと思います。

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10
倉俣史朗
『倉俣史朗の仕事(1976年)』

倉俣史朗の硝子の椅子が好きです。この作品集は1976年に発行された貴重な作品集。どこを切り取ってもかっこいいと思える作品の数々から常に影響を受けます。年表を見ると1年間で発表した作品の数にも驚かされます。石岡瑛子による装丁もまた美しいです。

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