BOOKS
Vol.10
蓮見 亮 コピーを一度、忘れる本
1960年の日本デザインセンター創業時から社員に親しまれ続けている資料室。
その約2万冊の収蔵本の中から選んだ10冊をお勧めする
「ライブラリーのおすすめ本をシェアするプロジェクト」
第10回目は、蓮見 亮(第3制作室 チーフコピーライター)が選んだ10冊です。
1
牧田智之
『GIONGO GITAIGO JISHO』
初めて読んだ時、「やられた〜」と悔しい思いをしたのを覚えている。こういう本こそコピーライターが作らなければ。例文のセンスも良い。ジョージがいい仕事してる。アートディレクション: 森本千絵
2
NHK「着信御礼! ケータイ大喜利」制作チーム
『着信御礼! ケータイ大喜利』
言葉のみでエンターテインメントができないかを模索してた時に出会った本。本、というか番組。10文字あれば人を笑わせることができるんだ!と勇気をもらえる。
3
ブルボン小林
『ぐっとくる題名』
短いフレーズの中にも潜む日本語の面白さに気づかされる本。つげ義春の「無能の人」は、なぜ「無能な人」ではないのか、とか。ブルボン小林は、「ジャージの二人」の作家・長嶋有の別名。なので言葉に対する造詣も深く、説得力もある。「部屋とYシャツと私」の解説も秀逸。
4
大竹一樹、三村マサカズ
『さまぁ〜ずの悲しいダジャレ』
個人的に、このフォーマットは1つの発明だと思ってます。ラーメンズの小林賢太郎もそうだけど、日本語の面白さに気づいて新しい笑いを生み出す人たちも多いので、お笑い芸人はバカにできない。
5
まどみちお
『まど・みちお詩集 ぞうさん・くまさん』
この本を前にすると、明治時代に起こった論争、「『象は鼻が長い』の主語は、『象』なのか、『鼻』なのか」を思い出す。お前は答えられるか?と問われているようで身が引き締まる。ちなみに、どっちだかわかります? 画 : 仁科幸子、編 : 北川幸比古
6
浅田政志
『浅田家』
この本を初めて知ったのは、美容室で読んでた雑誌上。街中を撮った写真集かと思い「ふ〜ん」て読みとばしてた。本屋で見かけた時には度肝を抜かれた。「浅田家?…まさか…」タイトルがもはや企画になってる言葉。
7
都築響一
『夜露死苦現代詩』
トマソン芸術のように、市井の人々の文章を採取した本。お前より面白いヤツはたくさんいるんだよ!と都築氏に怒られたい時に読む。でも、「オムツの中が犯罪でいっぱいだ」なんて言葉、生きてるうちに思いつきそうにない…。
8
ハリー・ホーン
『映画のクォート(引用)事典』
この本を読めばあなたも村上春樹になれる!(かも)ハリウッド映画に出てくるクサいセリフが満載の一冊。春樹の初期の作品を最近読み直したんですけど、お 得意の比喩が三行に一度くらい出てくるんですよね。「喉がカラカラ。口の中でアラビアのロレンスの撮影ができるくらいよ」なんて、ダンスダンスダンスのユミヨシさんとかほんとに言いそうだ。
9
文 : 谷川俊太郎、写真 : 中里和人
『こやたちのひとりごと』
じつは私も納屋萌え男子。一時期写真を撮ったりもしてたので、この本を見つけた時には驚いた。写真のみで編集するだけでも面白いと思うけど、いい感じの言葉があるおかげでよりチャーミングな一冊に。
10
イチハラヒロコ
『こんどはことばの展覧会だ』
アタマの中に言葉の散弾銃を放ちたい時に読む本。イチハラヒロコの本の中でも、一般人たちの、乱暴でむき出しの言葉が載ってるこの本がいちばん好き。企画 : 水戸芸術館現代美術センター