BOOKS
Vol.08
桑田 修 五感を揺さぶる本
1960年の日本デザインセンター創業時から社員に親しまれ続けている資料室。
その約2万冊の収蔵本の中から選んだ10冊をお勧めする
「ライブラリーのおすすめ本をシェアするプロジェクト」
第8回目は、桑田 修(第3制作室室長 クリエイティブディレクター)が選んだ10冊です。
1
井上嗣也
『Inoue Tsuguya Graphic Works 1981-2007』
何も語ることがありません。
骨太で強いデザインが1ページ1ページ、ページをめくるたびに、猛烈なスピードで心に刻まれていくのです。
2
SAUL BASS
“A Life in Film and Design”
ソウル・バスの作品集。マークなどの平面作品はもちろんですが、なかでも手書きを中心とした映画のタイトルバックがとても印象に残ります。
たとえ重い題材のものであっても、魅力的なものへと昇華させる力量、知性と感情を同次元で表現する技術に感動します。
3
TIBOR KALMAN
“TIBOR”
ニューヨークのデザイン・アートシーンの一時代を牽引したティボール・カルマンの作品集。トーキング・ヘッズ関連の先鋭的なデザインは、いまでもまったく色あせることなく、心に響いてきます。
スカイアンブレラ、ペーパーウエイトなどの物語性のあるユーモアを大切にしたアイデアが秀逸。
4
LOU DORFSMAN
“Design Works”
空間を活かしたレイアウト、清潔で明解なタイポグラフィは、壁面や紙面から澄み切った音が聞こえてくるようです。
そこには、古き良きアメリカ、マンハッタンの香りが漂っています。
この本は、私にとってのデザインの教科書であり続けています。
5
PETER SAVILLE
“Designed by Peter Saville”
ピーター・サヴィルの作品集。レコードジャケットからその後ファッションなどその領域を拡げていき英国デザイン界を代表する一人となってゆくのですが一時期ペンタグラムに所属していたのが不思議な気がします。
ニック・ナイトの写真集が美しく、興味をひかれます。
6
石岡瑛子
『Eiko Ishioka』
デザインは常に鍛錬、鍛錬、鍛錬という氏の言葉を思い知らされる。これ以上の緊張感はないというくらい研ぎ澄まされたデザインの数々。『私デザイン』でその制作ストーリーを合わせて読むと空気感にドキドキし、背筋がピンとのびてしまいます。
7
HIPGNOSIS
“Walk Away Rene”
ヒプノシスは、英国のデザイングループで、70年代を中心にレコードジャケットのデザインを芸術作品としての表現の域まで引き上げた先駆者です。
ただただ不思議でヘン、意味不明なものや、理解不能な難解なものもあり見る者に委ねることもひとつのコンセプトとなっています。
8
Paul Gambaccini
“TOP 100 ALBUMS”
アーティストが奏でる音やパフォーマンスとともに、デザインの力もそのイメージに大きく寄与していたLP全盛の時代は、名作がたくさんありました。
紙のダブルジャケットのLP盤を袋から取り出して、針を乗せる…そんなアナログ行為も今となっては思い出でしかなく、ノスタルジックな気分になる本。
9
RAYMOND SAVIGNAC
“de A a Z”
フランスのポスター画家、レイモン・サヴィニャックの作品集。
エスプリの効いた数々の商業ポスターは見るだけで気持ちをやわらかくしてくれます。豚がかわいくて、おいしそうで、いいにおいがするのが好きなんです。
10
Emily King
“M to M of M/M(Paris)”
パリを拠点に活動するM/M(Paris)は枠におさまらない自由奔放なタイプフェイスを駆使して常に新しいアプローチでのぞみ続けています。
見たことのない鮮度感に目を奪われてしまいます。