BOOKS
Vol.07
大黒 大悟 勇気をくれる本
1960年の日本デザインセンター創業時から社員に親しまれ続けている資料室。
その約2万冊の収蔵本の中から選んだ10冊をお勧めする
「ライブラリーのおすすめ本をシェアするプロジェクト」
第7回目は、大黒 大悟(大黒デザイン研究室室長 アートディレクター)が選んだ10冊です。
1
Maurice Sendak
“Where the wild things are”
子どもの頃から大好きな絵本「かいじゅうたちのいるところ」。寝る前に母親に読んでもらったが、興奮しすぎてなかなか寝付けず、僕の視覚体験に大きな影響を与えてくれた本である。モーリス・センダックの絵は子供心に他の本とは違う魅力を放っていて、勇気をもらった。そのおかげで僕は1枚の絵の持つ力を信じることが出来ています!
2
Yann Arthus-Bertrand
“La terre vue de Ciel”
フランスの航空写真家ヤン・アルテュス=ベルトランの写真集。ここに載っている写真を見ていると自然の脅威、生物の多様性、人間の生きる力など、40億年という長い歳月で生み出されてきた、地球の美しくも恐ろしい奇跡に感動する。
3
Christopher Wool
“WOOL”
ニューヨークを拠点として活躍する現代アーティスト、クリストファー・ウールの作品集。シルクスクリーンで刷った上に、さらにローラーでペイントをしたり、彼の作品は荒々しい印象を一見受けるが、僕は透明なレイヤーが幾重にも重なっているような詩的な世界を感じ、とても魅力を感じている。
4
RIJKS MUSEUM
“WIJNANDA DOROO”
オランダのデザイナー、イルマ・ブームがデザインしたRIJKS MUSEUM(アムステルダム国立美術館)の完成までをまとめた本。彼女のブックデザインは有名だが、この美術館は、ロゴもイルマ・ブームが手がけている。研ぎすまされたコンセプトを、明快かつ、パワフルにカタチにする彼女のクリエイティブからは常に影響を受けている。
5
Niklaus Troxler
“Jazz Blvd. : Niklaus Troxler Posters”
スイスのグラフィックデザイナー、ニコラス・トロクスラーのジャズ関連のポスターを中心に構成された作品集。彼の自由でリズミカルなタイポグラフィの数々は、グラフィックデザインの楽しさを教えてくれる。インタビューで「現在のために働く」といっていたのも印象的。
6
Thomas Heatherwick
“Thomas Heatherwick: making”
2012年にロンドンV&A美術館で開催された建築家トーマス・ヘザウィックの作品集。展覧会の圧倒的な物量とスタディのクオリティの高さに驚いたが、彼の直感的なアプローチと、身体スケールを常に意識し、プロジェクトをS・M・Lで分類しているスタンスも興味深い。P.390-391の縁石デザインが好き。
7
Hendrik NicoLaas Werkman
“The next call Hommage a Werkman”
20世紀初頭にオランダで活躍したアーティスト/デザイナー/印刷技師のヘンドリク=ニコラス・ウェルクマンへのオマージュとして出版されたすごい本。図版によって紙質や判型が違い、多くのページはシルクで刷られている。ページをめくるたびドキドキして何かを作りたくなる。
8
葛飾北斎
『富嶽百景』
世界に多大な影響を与えた北斎が錦絵「富嶽三十六景」に飽き足らず、画道を極めるために、さらに構想や表現方法を発展させ、75歳で出版した絵本。無駄のない美しい線で、自然の現象を難なく二次元に捉えた北斎の異常性は、ただ純粋にかっこいい!常に好奇心旺盛で、変化をしていくことが出来る人でありたい。
9
Editors of Phaidon Press
“Vegetables From An Italian Garden”
野菜の育て方からレシピまで、春夏秋冬に分けてまとめたクックブック。素材とレシピで紙のサイズを変えた造本と色使い。そして、大地の強さを感じる美しい写真の数々がとにかく素晴らしい。家に一冊あるだけで、澄んだ空気を運んでくれそうな本です。
10
Bruno Munari
“Far Vedere L’aria die Luft Sichtbar Machen”
ブルーノ・ムナーリ多岐にわたる仕事をまとめた本。本のサイズ、色、デザイン、内容全て大好きな一冊。この本からはインスピレーションを受けまくっている。ユーモアあふれる視点から生み出された数々のアイデアが、現在も世界中に影響を与えていると思うと勇気がでてくる。