大きな経済の活性を追い風にアジアが動いている。高度成長期の日本の経験や反省を踏まえて、経済の進展と文化財の保護・活用が歩調を揃えて進展できるような視点でお手伝いができたらと考えている。中国における歴史・文化の様相は日本と異なり変転が激しいが、彼の地の文化の諸相に対する興味は汲めどもつきない。
2011年、北京を皮切りに巡回する「設計的設計 原研哉2011中国展」を経て中国との関係が深まっていく予感がある。
景徳鎮「御窯」は、生産技術の復元と、歴史遺産を基軸とした複合プロジェクト。中国と言えばCHINA、すなわち磁器である。景徳鎮は、宋/元/明/清の時代における磁器生産の中核。これは窯址・美術資源の運用、博物館、アイデンティフィケーション、観光などを包括する大きなコミュニケーション・デザインのプロジェクトであると考えられる。
襄陽の承恩寺は、新しい禅寺のかたちを構想するプロジェクト。禅を体験する場がいかなる環境・空間であるかを全く新しい視点から考える試みである。寺院はかつて情報文化の先端であった。今日においてそれを問い直す。
Jun 12, 2011