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2020東京五輪エンブレム 第1回設計競技案

2020東京五輪のエンブレムに関する設計競技が、応募104案のうち1点しか公開されないまま、白紙撤回されました。プロフェッショナルたちによって競われた最初の競技がいかなるものであったかを公表することは、グラフィックデザインが広く理解されるためにも、五輪エンブレムの今後を考えていくにも、貴重な資料の提供になるはずです。そこで、次点と公表されたのち、一部が出所不明の漏洩にも見舞われた自作案を、著作権が手元に戻ってきた現時点で、可能な限り忠実に公開します。(発表内容を個人に帰属する制作物の範囲内にとどめるため、「五輪マーク」と「TOKYO 2020」は、コンペティションに提出したものとは異なる代替物としています)

続きを読む... 五輪案は「躍動する地球」「心臓の鼓動」「頂点」をシンボライズしました。二つの「星」は、惑星的な規模の地平線にうかぶ他の天体、太陽と月を暗示すると同時に、超越する個のせめぎ合いを表現しています。赤は躍動と情熱の色であり日本の伝統色です。パラリンピック案は、はじける「歓喜」「共振」「祝祭性」を表現しています。空を翔けめぐり歓喜を伝える「飛天」のイメージです。二つのエンブレムは、赤1色で、影のない三次元の球体として設計しており、かたちにおける独創性の根拠の一角をなします。いずれも手で探し当てた独自の造形です。

アイデンティティのデザインを考える上で、多様なコミュニケーション・シーンに対応できるかどうかを検証することは、今日のデザイン・プランニングにおいては必須の作業と考えます。特に今回は二つのエンブレムの関係性が重要だと考えました。提出した資料は多岐にわたる検証作業から厳選した14枚の画像で、動画イメージも不可欠と考え参考資料の一部として提出しています。デザイナーとして最初の設計競技に真摯に参加しましたが、これはただエンブレムのみを決めるという一義的な意味ではなく、組織委員会の中に、きちんと機能するデザイン委員会が組織されていく道程の端緒であると受け止めています。

新たな公募が示されました。参加資格は18歳以上、提出画像は2枚のみ。デザインマラソンのランナーの数は膨れ上がりそうです。それがどんなレースになるかは走ってみなければわかりませんが、2020東京五輪の成功に向けて、気持ちを前へとたてなおします。

なお、オリンピック一連に関する意見は、時宜に応じて表明してきました。エンブレムの設計競技に関する意見も含めて、発言内容は以下にまとめています。

✳︎︎使用している写真は全て使用権を得たものです。︎︎使用している動画、CG、音楽はオリジナルに製作したものです。

WORDS:コンペ、明快な基準を─五輪エンブレム、不可欠な専門性
WORDS:デザイン開花する東京五輪に
WORDS:美意識の祭典へ

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1. エンブレムの統合展開 続きを読む...

エンブレムの並列による視覚効果。ふたつが共振することでより極まった祝祭性が出現する。
図は左よりバナー、共通チケット、オフィシャル書類のイメージ。
赤いマークと金の五輪はよく調和し、品格が生まれる。基本案に加えて、金の五輪の可能性を提案したい。 閉じる
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2. 多次元グラフィックス 続きを読む...

エンブレムは球体として設計した。ただし表現においては2次元の強さと明快さを持たせている。
動画やインタラクティブな表現においても、基本的には陰影付きの立体表現を用いず、
明快・鮮明なグラフィックイメージを基本として展開したい。 閉じる
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3. エンブレムのメタモルフォーズ 続きを読む...

競技場の階段。上り口で結像したエンブレムは、視点の移動とともに変化し、
晴れ舞台へのアプローチをダイナミックに演出する。
このようなエンブレムのメタモルフォーズはアプリケーションデザインの基調となる。 閉じる
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4. 競技場イメージ 続きを読む...

アーチをくぐって、ランナーが競技場に入ってくるシーンを想定してみた。
競技場や会場に展開されるヴィジュアルは、巨大なエンブレムを連想させるかたちとし、
競技者とのスケールの対比によって、競技場のドラマをより感動的に印象づける効果を持たせる。
✳︎︎使用している写真は使用権を得たものです。 閉じる
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5. コスチューム/プロダクツへの展開 続きを読む...

選手入場をリードする誘導員や、係員の衣服に、エンブレムをあしらう。
赤と白のコントラストに、グラデーション、一部に斑が配されたヴィジュアルの要素は、
エンブレムをそのまま再現するのではなく、やわらかく柔軟性をもって様々なプロダクツに展開される。 閉じる
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6. オンスクリーンへの展開/インフォグラフィックス 続きを読む...

観客席への誘導や競技情報は、総合的な情報システムによって、携帯端末や屋外スクリーンに表示される。
半透明な環境下におけるヴィジュアルデザイン。赤の鮮明なエッジとグラデーションという造形ルールを、
ピクトグラム等に適用すると、エンブレムと自然な調和を見せる。 閉じる
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7. 公共空間への展開 続きを読む...

空港や駅などでは透過性のある巨大バナーなど、静止画による象徴的な表現が効果的である。
デジタルサイネージが設置されている環境では、動画表現も展開したい。
立体性を生かして、公共空間における巨大な球形エンブレムの設置も検討してみたい。
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8. THE LOOK OF THE GAMES 続きを読む...

競技の映像を曲線エッジの赤でフレームすると、独特の視覚性が獲得できる。
TOKYO 2020独特の雰囲気がおのずと醸成され、一目でそれと分かる。
エンブレムは赤地に白抜きで使用しても美しい。
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9. ツール類の重みと矜持 続きを読む...

参加賞や認証カードなどのツール類にエンブレムを適用した例。
小さなツール類にも参加者が誇りを感じ、晴れの場のリアリティを感じ取れる工夫が必要で、
エンブレムはそういう小さな局面でも丁寧に活用されることが望ましい。
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10. 花火になるエンブレム 続きを読む...

開会式・閉会式のフィナーレに用いられる超大型の高密度花火。
花火のデザインは、花火師の協力をもと、花火に格納する「星」を調整することで可能。
世界中の人々に、今一度、日本の伝統技術の精緻さとホスピタリティを反芻していただく。
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11. ノベルティグッズへの展開 続きを読む...

球体のエンブレムをあしらったボールも、ユニークな媒体となる。
競技に使うボールではなく、プロモーションのためのコミュニケーションツール。
アイスクリームなど、身近な丸いものへの適用は、笑いを交えた効果的なPRを生み出す。 閉じる
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12. 航空機や鉄道車両への展開 続きを読む...

航空会社の協力で、飛行機の窓越しに見る景観にこのような光景が現れるなら、
世界中の空港で、TOKYO 2020の強力なプロモーションとなる。
JR各社の協力で新幹線の車両などにも同様の展開を期待したい。 閉じる
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13. 日本各地とのエンゲージメント 続きを読む...

東京だけではない。外国から日本を訪れる人々を日本の深部へと運ぶインフラや仕組みが、
オリンピックを契機に適切に整備されることが期待される。
これらのサービスとも深く連携できれば、大きな副産物を生み出すことができる。
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